公務員って民間みたいな人事評価はあるの?
公務員の人事評価って出世や給料に影響はある?
といった疑問を解決します。
公務員は年功序列で何もしなくても出世するイメージも抱いている方は多いと思います。
また、民間企業は人事評価で次第で給料や出世が決まりますが、公務員にも民間企業のような人事評価があるのか気になりますよね?
そこでこの記事では
・公務員にも人事評価はあるのか
・公務員の人事評価の仕組み
・人事評価と給料や出世との影響
を解説します。
筆者は政令市に約10年間勤務し、職員の人事異動に関わったことがありこの記事の信頼性の担保になるかと思います。
もくじ
公務員にも人事評価はある
まず第一に公務員にも人事評価はあります。
しかし、公務員に人事評価制度が導入されたのは最近で、評価基準がうやむやな自治体が多いのも事実です。
もちろん以前から独自の基準をもとに人事評価を行っていた自治体もありますが、公務員の人事評価の歴史は民間と比べると浅いと言わざるを得ません。
その理由は公務員の仕事は民間のように目に見える結果になることが少ないことが挙げられます。
次は公務員の人事評価の仕組みについて、実際の自治体を例に解説していきます。
公務員の人事評価の仕組み
公務員の人事評価の例としてかなり分かりやすいのが大阪市です。
大阪市は毎年人事評価の仕組みや結果を公開していて、その資料も(市民に公開しているだけあって)分かりやすいので、公務員の人事評価の仕組みの理解に役立ちます。
誰が評価する?
それでは大阪市の人事評価を例にして、公務員の人事評価は誰がどうやってするのか解説していきます。
以下の表は大阪市で誰が誰の人事評価をするかを示したもの。
当然ですが、人事評価をするのは直属の上司です。
そのため、いわゆる平社員にあたる係員は係長級の職員が評価しますが、評価される側の役職が上がれば上がるほど評価をする側の役職も上がっていきます。
大阪市では何段階にも渡って評価が行われ、その評価が正当なものか(好き嫌いやひいきによるおかしな評価はないか)を確認する調整者という役割まで設けて公平な人事評価を行おうとしています。
一方で係員レベルの職員の評価を行うのは直属の上司(係長と課長)のみで、直属の上司の評価が最終評価となる自治体も多いです。
どうやって評価をする?
公務員の人事評価はいわゆる絶対評価が主流です。
ただし評価の対象は自治体によって様々で、例えば毎年職員に目標を立てさせてその目標に対する取り組みを評価する自治体や、自治体が職員が達成すべき目標を設定して、その目標に対する取り組みや達成度を評価する自治体などがあります。
どちらのやり方でも例にあげた大阪市のように職員の取り組みを公平に評価できるような評価基準を設定して、その基準をもとに評価が行われます。
仮に基準がなければ評価者(上司)の好き嫌いで評価が決まってしまうので、公平に評価を行うための取り組みですが、例え基準があったとしても上司の考え方次第で評価が大きく変わってしまうのは避けられません。
ちなみに僕も仕事への取り組み方は変えていないのに評価が大きく変わったことがあるので、評価は上司との相性で決まると捉えていました。
それでは最後に人事評価と給料や出世との関係を解説します。
人事評価と給料や出世との関係
評価が高いとボーナスが増える!?
人事評価で高い評価をもらっても基本給には影響は出ません。
しかし、評価と給料が関係ないというわけではなく、人事評価の結果はボーナスに反映されることが多いです。
公務員のボーナスは「期末手当」と「勤勉手当」の2つの手当の合計額で決まります。
「期末手当」は在籍していれば皆もらえるボーナスで人事評価とは関係ありませんが、「勤勉手当」は人事評価の結果次第で額が変わってきます。
「勤勉手当」の決め方のイメージは次の通りです。
・Sランク:人事評価上位5%の職員⇒勤勉手当1.5か月分
・Aランク:人事評価上位15%の職員⇒勤勉手当1.0か月分
・Bランク以下:人事評価上位15%に入らなかった職員⇒勤勉手当0.5か月分
上の例だと、人事評価が上位5%に入った職員と上位15%に入れなかった職員ではボーナスが1か月分変わってきます。
仮に基本給を月20万円とすると、SランクとBランク以下ではボーナスが20万円変わるので、すごく大きな差ですよね。
どの程度の差をつけるかは自治体によって違いますが、人事評価はボーナス額を決める際に重要になってくるんです。
また、公務員の人事評価は絶対評価と言ったのに、↑の例では相対評価をしていると思う方もいるかもしれませんが、仕組みは簡単で絶対評価の結果を点数化して、その点数を元に全体での順位(相対評価)を決めていきます。
例にあげた大阪市を含め多くの自治体が同じ形式をとっています。
評価に関係なく出世はできる
人事評価はボーナスと深くかかわっていると説明しましたが、次に出世との関係を解説します。
結論として、人事評価に関係なく在籍年数や年齢に比例してある程度までは出世できます。
ある程度と言うのは自治体にもよりますが、までは定年まで勤務していればなれる自治体が多いです。
(注)東京都のように昇格試験を課している自治体では試験を突破しないと何年たっても出世はできません。
公務員の係長がどのくらいのポジションなのかは以下の記事で解説しているので、興味のある方は是非ご覧ください。
課長級以上になるには評価が重要
定年まで勤めていれば係長や支所長レベルまで出世できることが大半ですが、それ以上の課長や部長になるには評価が重要になってきます。
大阪市の例でも係長の人事評価には部長が関わってきますし、係長の上の課長補佐の評価には副市長まで関わる仕組みです。
課長や部長への昇格を決める人事には副市長が関わってくることが多く、相当優秀でないと副市長から高く評価されることはありません。
というのも副市長は部長や局長などの経験者であることが多く、自治体で数えるほどしかいない部局長の中でもさらに優秀な人が選ばれるのが一般的です。
そんな優秀で組織を知り尽くした副市長に「課や部局を任せたい」と評価されて初めてなることができるのが課長級以上のポストで、その決め手となるのは当然(副市長も関わる)人事評価なんです。
まとめ
いかがでしょうか。
公務員の人事評価の仕組みがおおまかですがわかったかと思います。
今回例にあげたのは大阪市ですが、どの自治体も人事評価の採点基準を公開(少なくとも組織内では公開)しているので、公務員になって出世したいと思っている方はぜひ気になる自治体のホームページをみてみましょう!
「自治体名+人事評価」でググれば、例に挙げたような人事評価に関わる報告書が出てくるはずです。
それを見ればどんな人が公務員として活躍できるのか、組織として評価されるのかも分かるので、公務員に興味がある方も見てみるのをお勧めします。
また、このブログでは公務員の待遇や実情だけでなく、公務員を目指す方のために公務員試験対策(特に面接対策)についても解説しています。
気になる方はぜひご覧ください。
それでは最後までご覧くださりありがとうございました。