内定取り消しになった人のニュースを見たけど、公務員は大丈夫?
公務員って内定取り消しや試用期間中にクビになることはあるの?
という疑問を解決します。
この記事の筆者は政令市に勤務経験があり、そのうち2年間は職員人事、4年間は職員採用に関わった経験があり、この記事の信頼性の担保になるかと思います。
ニュースでも取り上げられていますが、コロナウイルスの影響で業績が急に悪化し、新卒内定者の「内定取り消し」や「内定辞退の依頼(実質的な内定取り消し)」を行う企業が現れてたみたいですね。
しかもコロナウイルスの影響が長引けば、今は内定取り消しにならなくても採用後「試用期間中にクビになる」ケースも今後出てくるかもしれません。
また、新卒だけでなく、最近増加している転職予定の方も転職先の企業の業績が悪化すれば「試用期間中にクビになる」可能性は大きいです。
そんな状況なので民間企業に内定をもらった方はもちろんですが、公務員の内定をもらった方も内定取り消しや試用期間中にクビになることはないか心配しているかもしれません。
そこで、この記事では
・公務員は内定取り消しになるのか?
・公務員は試用期間中にクビになるのか?
・公務員が内定取り消しや試用期間中にクビになるケース
を解説します。
もくじ
公務員は内定取り消しになる?
早速、結論から言うと公務員は基本的に内定取り消しにはなりません。
そもそも公務員の採用はその年度の退職予定者数を踏まえて、自治体を運営していくのに必要最低限の人数を採用します。
民間では今回のコロナウイルス騒動での観光・旅行のキャンセルやライブ等のイベントの自粛によって採算が悪化し、事業の見直しを迫られるかもしれませんが、公務員の仕事は税収をもとに成り立っています。
実際に、公務員(特に自治体)主催のイベントの多くも延期や中止になっていますが、それによって自治体の収入がなくなったり、立ち行かなくなることはありません。
「民間企業の業績が悪化すれば税収も減るのでは?」と思うかもしれませんが、その場合は前年度までの繰越金を活用したり、公債(借金)を発行して必要な業務を行います。
また、多少税収が減っても内定取り消しを行うほどに自治体運営が決定的なダメージを受けることはないです。
実際にバブル崩壊やリーマンショック時ですら合理化のために合併した自治体はあっても、景気の悪化を理由に内定取り消しを行った自治体はありません。
さらに、従来ならイベントの準備を担当する職員もイベントの準備以外にも(いくらでも)仕事はあるため、「イベントがなくなり仕事がなくなったから内定を取り消します」なんてことはないと断言できます。
公務員は試用期間中にクビになる?
こちらも同様で、公務員は基本的に試用期間中にクビにはなりません。
今回のコロナウイルス騒動はいつまで続くか分からず、長期化すれば今は耐えている企業も業務の見直し・人員整理を迫られる可能性は大きいです。
人員整理で主なものは早期退職の募集ですが、このタイミングで早期退職を募集すると役に立たない社員だけでなく、能力のある社員も退職して大幅な戦力ダウンにつながりかねません。
その点、入ったばかりで戦力にならない試用期間中の職員を辞めさせても企業に大きなダメージはないですよね。
また人員整理をする企業の人事担当としても、同じ会社で働いてきた人よりもよく知らない新入社員の方が思い入れもなく切りやすく、試用期間中は比較的自由に解雇できるため試用期間中にクビになるリスクは民間では高いです。
一方、公務員も試用期間中にクビにできますが、内定取り消しがない理由と同じでコロナウイルスの影響が仮に長引いても自治体運営に大きな影響はありません。
加えて仕事はたくさんあるのでクビにするメリットがありません。
何よりも公務員の仕事の大半は前例踏襲が基本のため、過去の事例を真似すれば新人でもある程度戦力になれるという点も大きいです。
以上のように公務員は「基本的には」内定取り消しや試用期間中にクビにはなりません。
しかし、「基本的には」ならないだけで例外もあるため、次はその例外を紹介します。
公務員が内定取り消しや試用期間中にクビになるケース
それでは、ここからは公務員が内定取り消しや試用期間中にクビになるケースです。
内定取り消しになる場合
まず内定取り消しになるのは以下の場合。
・履歴書の内容に大きな嘘があった場合(経歴詐称)
・採用までに法を犯した場合
・想定以上に退職者が少なかった場合
履歴書の内容に大きな嘘があった場合
これは「〇年以上の勤務経験」「大卒・大学院卒」「〇〇免許保有」などの採用条件に合わせて経歴を詐称した場合です。
そのような場合に備えて「提出した履歴書等の書類に虚偽の記載があったことが判明した際は内定取り消しになる可能性があります」と多くの自治体は募集要項に記載してあり、実際に内定取り消しになります。
しかし、嘘があると内定取り消しと言っても以下のような場合は見逃されるか、そもそも確認すらしないことが大半。
・空白期間にアルバイトをしていなかったのに、アルバイトをしたことにして職務経験欄に記載した(または期間を水増しした)
・大学、サークル、バイト先等での経験で自己PR等に記載したが実際は作り話だった
このような職務経歴書や免許証など証明できるものがないものや些細な嘘に関しては、そもそも調査すらしないのでバレることはないですし、仮に何かのきっかけでばれても採用取り消しになる可能性は低いです。
採用までに法を犯した場合
これは言うまでもないですが、法を犯せば公務員・民間に関係なく内定取り消しを覚悟しなくてはいけません。
犯罪には様々なものがありますが、飲酒運転のような比較的軽い罪でも間違いなく内定取り消しになります。
特に公務員は高い倫理観が求められるので、犯罪でなくても普段の行動には気を付ける必要があります。
想定以上に退職者が少なかった場合
最初に公務員はその年度の退職予定者数をもとに採用人数を決めると書きました。
しかし、ごくまれにですが退職予定者が予想よりも大幅に少ない場合があります。
そうなると最終合格者の採用を見送るケースも過去にありました。
例えば2011年に神奈川県大和市が退職予定者が当初の予定よりも少なく、最終合格者の採用を大量に見送ったことで問題になりました。
(結局大きな問題になり市側が折れて採用されましたが)
そもそも公務員試験に最終合格しても「採用候補者名簿」に名前が載るだけで、名簿に記載された成績上位者から順に内定を出すという仕組みになっています。
最終合格者は辞退者が出ることを考慮して多めに出しているため、辞退者が少ないと合格しても内定が出ずに、採用されないことが稀にあるのは公務員試験の怖い所。
しかし、これはあくまでも最終合格者の採用見送りであって、内定取り消しではありません。
つまり、一度内定が出てしまえば経歴詐称や法を犯すなど問題行動がない限りは内定取り消しにはならないです。
試用期間中にクビになる場合
次に試用期間中にクビ(解雇)になるのは以下の場合
・経歴詐称があった場合
・法を犯した場合
・無断欠勤や問題行動が多いなど職務上の問題が多い場合
重大な経歴作用がバレたり、法を犯した場合は、仮に試用期間中でも間違いなくクビになりますが、内定取り消しと同じなので省略します。
ちなみに法を犯した公務員は試用期間外でもクビにできることが、地方公務員の場合は地方公務員法第二十九条に定めれています。
職務上の問題が多い場合
試用期間中にクビになるケースとしては、職務上の問題が多い場合がほとんどです。
この職務上の問題による解雇も法律でも定められており、地方公務員なら地方公務員法第二十八条や第二十九条に勤務実績が悪い職員や職務上の義務を違反したり、職務を怠ったものに懲戒処分を与えることが可能としています。
公務員がクビになるケースはコチラの記事で解説してあります。
職務上の問題とは主に、無断欠勤や問題行動が多い場合など。
特に無断欠勤に関しては、出勤要請をしても応じない場合クビになる可能性はあります。
加えて業務中に業務と関係のないことばかりしたり、暴言を吐いたりといった問題行動が多くてもクビになる可能性があるんです。
ただ、業務中に業務と関係ないことばかりする場合でも、注意を受けて改善すればクビにまではなりませんし、それでクビになった職員は聞いたことがありません。
また、ミスを連発したり、市民からクレームを受けたりして仕事が上手くいかなくても、真面目に取り組んでいれば注意は受けるかもしれませんがクビにはならないので安心してください。
まとめ
・公務員は景気が大幅に悪くなっても「基本的に」内定取り消しも試用期間中にクビになることもない
・内定取り消しになるのは「経歴詐称」「法を犯した場合」
・試用期間中にクビになるのは「経歴詐称」「法を犯した場合」「無断欠勤や問題行動が多いなど職務上の問題が多い場合」
・真面目に働けば試用期間中でもクビにならない
最近話題になっている「内定取り消し」に関して公務員はどうなのかを、今後起こると予想される「試用期間中にクビになる」ケースと合わせて解説しました。
繰り返しになりますが今後景気が大幅に悪くなっても真面目に生活し、真面目に働いていれば内定取り消しにも試用期間中にクビになることもないので安心してください。
今後、コロナウイルスの影響が長引けば多くの企業の採用に影響が出るかもしれませんし、景気が悪くなると公務員の人気はどんどん上がっていくので、もしも公務員に興味があるならこの記事の公務員試験対策が役に立つかと思います。
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それでは最後までご覧くださりありがとうございました。